東部若手農家が作るとうもろこし「きせき(喜世紀)」
今回は、東部の若手農家さんにスポットを当てて、とうもろこしをご紹介します。
望月さんのお父さんはこのコーナーでも登場しています望月秀和さん。現在親子で野菜を作っています。今年は、とうもろこしに挑戦しました。
「3月上旬に種を蒔きました。とうもろこしは成長速度が速いので、取り遅れるとエクボが出てしまいます。」えくぼというのは、とうもろこしの粒がデコボコしてくることをいいます。粒の表面が陽に当たったり、時間が立つとデコボコがでてしまうため、収穫は明け方になります。
「朝3時半に起きて、4時から収穫。5時までには終わります。他の野菜と違って、皮の中の良し悪しを手で触った時の感触で判断するのが難しいです。」
親子で作っていると、意見がぶつかることもあるといいます。
「新しいことは父に教えて、昔からのやり方は教わっています。」
日々進化している農業に、情報交換は欠かせません。農業大学時代の友達との情報も得られるのが強みと望月さん。
美味しい食べ方は、「買って帰ったら、すぐに茹でた方がいいです。その後冷やすと甘みが増します。我が家では、皮ごとレンジでチンしています。」
望月さんのとうもろこしは、7月上旬くらいまで、店頭に並びます。
天野雅幸さん (伊豆の国市)
三島から下田街道を下り、伊豆スカイライン方面に車を走らせ、山道を登っていくと、天野さんの畑があります。標高が高く、温度も少し低く感じます。冬は雪も降るという見晴らしのいい場所に、とうもろこしが並びます。出荷予定も7月下旬と望月さんのところよりも1ヶ月ほど遅いようです。農家を始めて、5年ほど。「難しいです」と天野さん。一旦は就職しましたが、いずれは家の農家を継ぐのなら、早い方がいいと、仕事を辞めて農業を始めました。
「農業の学校など行っていないので、ものによってどのくらいで育つのか、旬の違いなど、知識がないまま飛び込んでしまいました。」現在は、お父さんと畑仕事を、おばあさんとお母さんは出荷作業と分担してやっているそうです。「4月20日から種まきをしました。台風が一度きて、倒れたままのものもありますが、今年は台風が少なくて助かっています。またこの品種は水が必要で、雨に助けられています。」広くて、眺めのいい天野さんの農地は、強い雨が降ると、土ごと流れてしまうそうです。またいのししや鹿の被害もあるそうです。
「静農会の方と情報交換をしています。いい商品ができると楽しいです。」
このあたりは、寒いので冬場の野菜も期待できそうです。
澤目純一さん (三島市)
澤目さんは、脱サラで農業を始めたという異色の農家さん。若い頃に命に関わる経験をしたとのことで、「健康に寄与できる仕事がしたい」と思い、最初は医療機器の会社に就職をしたそうです。その中で、「おおもとは、生活習慣の見直しでは…」と気づき、何よりも食が大事と思い、農業にチャレンジしました。作り方もオーガニックにこだわり、農業法人として、仲間やボランティアと作っています。
「今年初めて、とうもろこしに挑戦しましたが、無農薬でつくるのは難しく、虫が防げなかった」といいます。「とうもろこし自体は、そんなに手のかからない育ちやすい作物です。ポイントは虫に気をつければ、なんとかなりそうですね」と今年の作業を振り返ります。7月上旬位から出荷が始まります。
「山の上にも畑があります。この川の側の畑と、作物を作り分けしています。オーガニックは、手間暇かかりますが、それに見合った市場が少なく、働いた分返ってくるものではないのが現状です。」と澤目さんはいいます。しかし、オーガニックの需要も増えてきていることは、事実。美味しいだけでなく、体にも優しい作物をいかに作るか、ますます目が放せません。